シークレットゲームBlackJack/Separater |
「エクストラゲーム?」 聞きなれない言葉に正志は人声をまねるオウムのように繰り返した。 エクストラ・ゲーム。特別な・ゲーム? 《ゲーム》のエクストラゲーム。殺し合い《ゲーム》の――――余興? 不吉な予感しかしない言葉にぞっとするのを隠せず口を閉じたままの面々だったが、正志だけでも反応したのが嬉しかったのかスミスはなめらかなアニメーションで飛び跳ねる。 『そう! エクストラゲームはね《ゲーム》をより楽しく! より面白く! より過激にするための特別な舞台なんだ!』 身振り手振り交えて言うが要領を得ない言葉に、細波が低くて思わず身震いしてしまうような声を出す。 「馬鹿にもわかるよーにハッキリ言えよ」 『よく上司にもお前の話はわかりにくいって怒られるんだ。…………おっと、そういや僕設定だと子供だった。先生に怒られるってことにしといて』 画面越しだからだろうか恫喝にけろりとした態度で返す。それがさらに細波の神経を逆なでしたのか舌打ちをする。掴んだPDAからぎりっと軋む音が鳴った。 『まあまあ、怒らないでよ。細波君は短気だなあ。それともエクストラゲームが楽しみなのかな? そこまで言うなら僕も長い話はやめて早速始めようか!』 「ポジティブだ」 「ここまでポジティブだと人生楽しそうですよね」 一同(約二名のぞく)がかたずを飲んで見守る中、スミスはまたもやどこからともかく看板を取り出した。看板には赤字で《Rest of Pair》。 『今回のエクストラゲームは《残り者には罰きたる》! 内容は簡単、十三人のうちの一人に ―――――――死んでもらうよ』 さらりと、簡単な罰ゲームであるかのように言ってのけるスミスに男四人は驚きの反応を見せる。 「はぁ!?」 「ええ?」 「へぇ………」 「な………!」 女性二人が反応してないのは理解できなかったからであろう。 殺し合い《ゲーム》の余興にて証拠。 《ルール》を確かめるまでも、首輪を外すまでもない。 誰か一人でも死ぬことこそが一番の証拠であり、一番の説得力を持つ。 そんな考えれば簡単に思いつくことに気付かなかったのは、ここまできてもまだ《ゲーム》を信じ切れていなかったことと、死ぬのが自分かもしれないという可能性があったからだ。 もし映画だったらば、想像はできただろう。コーラ片手にポップコーンをつまみながら好き勝手に若手キャストが死ぬやら死亡フラグキタコレ、とあれこれ予想を立てることもできた。 だが、その死ぬかもしれない配役に自分を据えて想像できる人間がいるのだろうか? 少なくとも、ここにいる六人にはいなかったように正志には見えた。 そんな立場とは全く無縁で、正志達をその配役に据えた張本人もしくはその一味のスミスはわざとらしく子供のようなしゃべり方で説明を進める。 『でもー、みんなは知ってる人、死ぬのは嫌だよね。血も涙もない僕でもー、同僚の鮫島君が東京湾に沈められたと知った時は涙が出たからね。笑いすぎてだけど。だから―――――』 顔のグラフィックは先程から変わらないコミカルな笑顔なのだがこの時のリアルに描写するなら裂けているだろう広い口の端が、にいぃぃとでも表現するような厭らしい笑みだった。 『―――だ・か・ら、まだこの建物で誰とも出会っていない仲間はずれな人に死んでもらった方がいいよね』 これは死刑宣告だ。正志の心臓が一秒一回のローテーションを上回る。ガキの戯れや品行が悪い人間の脅しでもない。 スミスは本気で「死ね」と言っているのだ。 『という訳だから、この建物の中で一人ぼっちの君。君だけがペアになってないブタ札なんだよ。だから他の人の為にも犠牲になってね?』 多分、正志たちと同じようにPDAを眺めている、エキストラ・ゲームに選ばれた人間に対し言っているのだろう。 この建物に無理矢理連れてこられてから誰とも出会えず独りさまよっておそらく人殺し《ゲーム》の《ルール》すらをも把握していない人間に死ねと言っているのだ。 『じゃあ、始めようかエークストラ・ゲィィム!』 誰もかもが、死刑勧告をされた本人ですら状況を把握できないまま惨劇は始まった。 『《残り者には罰きたる》スタートォッ!』 「――――――――――っ!」 スミスの宣言に何か恐ろしい事が起こるのではと身を固くする面々。正志は辺りを見回し、細波は腰を浮かしかけ、朝凪は片膝を立て、若村と留々菜はPDAを見つめ、此処愛は「ひっ」と短く悲鳴を漏らした。 「…………………?」 しかし、いつまでたっても何もなく正志は首を捻る。細波もいつでも動けるように腰を浮かせながら疑問の声を上げた。 「なんも、起こんね………」 「シッ………!」 遮ったのは朝凪だ。人差し指を口に当ててしゃべるなのジェスチャーをする。指図されたと思った細波は苛立ちを八つ当たり気味にぶつける。 「んだよ!?」 チンピラみたいな風体―――というよりチンピラそのものの淒みに眉一つ動かさず朝凪は答えた。 「音が聞こえます」 「音ぉ?」 正志も耳を澄ます。微かにだが、何かが聞こえる。それはくぐもったような重厚な音が幾つも連続していた。 「なんだろ、この音? ココちゃんも、聞こえる?」 「えと、はい…………」 「どんどん大きくなってないか?」 若村が不安を隠せない表情で言う。正志の耳にも音量ボリュームがものすごくゆっくりと大きくなってきている。 ―――――――――何が起きている? 六人全員がそう思い、その想いに答えるようにPDAの画面が変化した。 ガー、ガガガッと周波数が合わないラジオのような異音を発した後、動かなくなったスミスが消えて別の映像に切り替わった。 「これは………この建物の中のどこか、か?」 若村が言う通り、粗いがカラーの液晶で見慣れた灰色の壁面や床が映しだされていた。 その画面の中央を人間が走っていた。 「男?」 映像が粗いため人相はわからないが体格からして男だろう。男は建物のどこかを走っていた。 画面が白く塗りつぶされた。 「ん?」 真っ白になって何も映さなくなった液晶に故障かと思ったが、次の瞬間には直り元の映像を流し始める。 「これは何の映像だ?」 若村の疑問はもっともで、相も変わらず男が走っているだけの映像。何故、こんな意味どころか面白みの欠片もない映像をPDAで流し始めたのか? アングルが変わった。今まで男を背面から追いかけるような映像だったのが、男がこちらに向かって走ってくる構図になった。 だから、さっきは気づけなかった変化に気がついた。 「…………?」 画面の端、男よりも映像を撮っているだろうカメラの近くの床に何かが現れた。男はそれに気がついて、現れた何かの手前にある脇道に姿を消した。 直後、爆発した。 「なっ――――――!?」 白くなった画面にはもう何も映ってなかったが、それでもわかった。床から現れた何かが爆発したのだ。 「………今の爆弾じゃねーの?」 爆弾。 漫画やゲームなどではよく見る武器にして、ドラマではテロリストがよく使う、火薬をつめた武器。だがどのフィクションでも役割は同じである。殺傷目的。 映像を見た感想を思わず正志は口から漏らす。 「もしかして、逃げてるのかな?」 白い画面が切り替わる。さきほどの爆発での怪我はなかった様子の男が走っている。男が走りぬけた床。ほんの一拍遅れて円筒形の何かが床から突き出る。そして爆発。映像のみで音は伝わらないが衝撃で画面が揺れて白く塗りつぶされる。別のカメラの映像に移ったのか、男の姿が再び現れる。 「逃げる………?」 まるで今の若村のつぶやきを聞いていたのかというタイミングでPDAの縦長液晶の下半分に別の画像が現れた。 「んだよ、これ………」 画像の左半分には灰色の厚い円盤のような物が映っていた。右半分にはライトグリーンの解説がついていた。 『もぐら地雷 建物中に設置されていて、足音に反応すると地面から顔を出して爆発する地雷。 でも顔を出してから爆発まで数秒の時間差があるから足が速ければ逃げきれるかも!?』 「地雷―――――!?」 「フザけた名前しやがって………おちょくってやがんのか」 細波が悪態をつく間も、画面の中の男は走り、一拍遅れて爆風が巻きあがる。 同意見だった正志も顔をしかめる。どんなに名前がファンシーでも地雷である。紛争地域などで悲惨な事態を引き起こしていると話に聞くだけで、見たことなどない戦争の産物。 映像の向こう側という事もあって現実感がなくなってきた正志だが、年上の男達はそんなことなく話している。 「これに追い立てられて逃げているみたいですね」 「どういうことだい?」 「足音に反応して数秒後に爆発――――これだけならどうにでもなりますが、問題はこの地雷がこの建物のそこら中に仕掛けられているという事ですよ」 走り抜けて、空振りの爆発する地雷。だが逃げた先にはまた地雷が。走った足音で反応する地雷。止まるわけにもいかず、戻るわけにもいかず、走り続けるしかない。 「体のいい処刑ですね。まあ、逃げきれないこともないでしょうけど。男の体力が勝つかどうかに賭かっていますね。幸いにも破片を飛ばすタイプではなく、爆風を撒き散らすタイプで爆発の規模も小さいですから直撃しないかぎり致命傷にはならないでしょう」 「なら、私達は見守るしか出来ない、か。地雷なら、私達に出来ることなんてないだろうしな」 苦い表情で浮かしかけた腰を若村は下ろした。職業柄なのか性格なのか、駆けつけようと思っていたようだ。 そんなどこかずれた反応はまだいい。 留々菜はPDAを呆然と眺め、此処愛は理解できないないのか不思議そうに正志を見上げるだけで、当の正志は沈黙したままである。当たり前だ。 処刑。 足が速ければ逃げられる。逆に言うならば、足が遅ければ逃げられないのだ。始めはまだいい。が、いつまでも走り続けることなどできない。疲れて速度が落ち始めるとだんだんと爆発が近くなっていく。そして最後には―――。 この建物の中、距離にして一キロもない地点で誰かが―――――殺されかけているのだ。女性と高校生の正志には男三人のように冷静に物事を受け止めることは出来ていない。嫌な汗が体中から流れて、手の平にたまる。 静かな朝凪の声と、次第に耳に聞こえてくる音が大きくなる。朝凪はしばらく沈黙した後、何かに気がついたのか吐き捨てた。 「しかも、これは……………そういうことですか」 「独りで納得してんじゃねーよ」 細波にせかされて朝凪が説明しようとした時、またもやPDAの液晶に変化があった。 今度現れたのは縦横縦横無尽に引かれた線。地図。この建物の地図が勝手に表示された。 さっき見た地図と違うのは、地図の中に光点がある事だ。 点はゆっくりとした速度で地図の道に沿って移動している。 「これは…………?」 「現在位置でしょうね。追われている男性の。………これで見せつける気ですか」 「見せつけ………?」 若村と朝凪の会話で正志の頭にいくつかの単語が浮かぶ。 見せつける。死刑。処刑。 スミスはなんと言った? エクストラゲーム。余興。死。 ―――――――――証拠? 男は十字路に差し掛かった。手前から奥へ真っ直ぐと進もうと手を足を猛烈に振る。死力を振り絞っているのが傍からもわかる。十字路の中央に入ると、奥と右方への通路に円筒が生えた。後方にも跡を追うように地雷が生える。男は慌てて左方へ走った。間一髪、手前、奥、右に生えた地雷が全て爆発する。 「証拠だって?」 まさか、と正志は眼を見開いてPDAを見つめた。 地図と映像に映る男は丁字路に差しかかろうとしていた。後戻りはできないので男の進路は直進するか左折するかの二択のみである。 ―――――――左に曲がる。 映像の男は丁字路に入り込みそのまま走りぬけようとする。が、目の前には地雷が生えたことで、無理矢理体を捻って左折した。直後に爆発。爆風に体勢を崩されなかけがらも男は危険から逃れていた。 正志の予想通りだった。地図も映像も携帯ゲームで自分が操作しているのかと錯覚してしまうような結果。 予想通り。つまり、この男の走る経路を正志は予想できてしまったのだ。 経路が予想できるならどこへ到着するのかというのも一目瞭然。地図の左端の一際広いフロア。即ち、 「ここに誘導させられているのか…………」 「そういうことでしょうね。僕も同じ意見です」 どうやら同意見の朝凪が、そのことが意味することのおぞましさを少しもわかっていない他の人間へ説明する。 「先程から聞こえる音が大きくなってませんか?」 ずん、ずんっ、という音。耳を澄ませなければ聞こえなかった音が聞き間違えようのない音量になっている。 間違いなく―――――地雷の爆発音だ。 「つまり近づいてきているという訳です。ここに向かって、ね。正確には誘導されて、ですけど」 「誘導って、どーゆーことだよ」 「…………見せしめか!」 細波の疑問に答えたのは朝凪ではなく拳を握りしめて険しい表情の若村だった。 「私達に直接見せつける気なんだ―――――――この男性が地雷で殺される所を!」 ひっ、と息をのんだのは留々菜か此処愛のどちらだっただろうか。それとも両人だったか。どちらにしろ此処愛の体が震えているのが、いつの間にかぴったりとくっついていた肩から伝わってくるのを感じる。 正志はPDAを持っていない方の手で此処愛の髪を撫でながら、朝凪の話に耳を傾ける。 「行かせたくない方向の地雷をアクティブ―――電源を入れておけば男が近寄ると顔を出す。出せば男はそっちには絶対に行けないから、進路を変える。そっちの方向の地雷は電源を落としておく。そうすれば爆発せず、男が逃げる方向を意図的に限定できますね」 「それでここにたどり着いたら殺す、ってことかよ。逃げてるんじゃなくて逃げさせてもらっているってのか。胸糞わりぃ」 PDAの中の男は細波が悪態をついている間も、走り続けている。地図の光点はもうここからそれほど遠くなく、地雷の爆発音も直に聞こえて来る。残りの時間は少ない。 額に手を当てて厳しい表情の若村と目を細めている朝凪が会話を続ける。 「どうして私達になんだろうか。他の6人ではなく、何故私達に………」 「僕達………だけじゃないでしょうね。例えば、先程の十字路で地雷を仕掛けた通路に他の人間がいたら、どうでしょうか。地雷に追われて、負傷し、死に物狂いで逃げている人間。これだけでも十分《証拠》になりませんか?」 こんな状況で話をしているなんてどんな神経しているんだと正志は思ったが、若村の言葉で自分の浅慮さを思い知る。 「…………どうにかできないだろうか? 誘拐犯が本気で男性を殺しに来てるかもしれないなら、なんとか助けなければ………………地雷がない場所へ誘導する、というのはどうだ?」 「難しいですね…………。地雷がない所、なんてあるのかどうか。地雷はたぶん建物中に設置されていると思います。でないと男性をこうも都合よく誘導なんてできないでしょうし、僕達があれだけ建物内を歩き回った時に一つも踏んでないのはおかしいですから」 二人は追われている男性を助けようと思っているのだ。こんな建物に誘拐されたというのに、他人の心配をするなんて、普通出来るものではない。 「地雷が既に爆発した所に逃がす、のはどうだ?」 「それが出来るなら、とっくに男性は元来た道を戻っていると思いますよ。足音を感知する距離、顔を出してから爆発するまでの時間、誘爆する配置、全てが緻密なまでに計算されてそうできないようにしているのでしょう」 だが二人の会話からしても芳しくない雰囲気が漂ってくる。細波が叫んだ。 「おい! もうここに来るぞ!」 手元のPDAを見ると地図上の光点―――男性は、人周り広い空間、このエントランスにたどり着こうとしている。 ―――――はずだったのだが。 「もう来てるよ!?」 「なに!?」 エントランスにつながる三つの通路の内、正志達が来た通路の奥に人影が見えて正志が驚きの声を上げる。全員の視線が薄暗い通路の奥へ向く。 五十メートルほど先の通路角から現れたのは若者だった。 「馬鹿な! まだPDAの地図だと………!」 画面の地図の光点はまだ十字路をいくつか挟んだ、エントランスに接続する通路からは離れた地点にある。映像の中の若者は爆風にまかれて角を曲がっている最中である。 『いやあ、ごめんね』 その呑気な声は若村のPDAから聞こえた。若村のPDAの画面は映像も地図も消えてスミスが現れていた。 『実はその地図と映像はリアルタイムじゃなくて数分タイムラグがあるんだ。次、似たような事があったらリアルタイム放送で頑張るから今回は我慢してね』 「……………っ!」 わざとらしくのたまうスミスに激昂を隠せない若村。ただでさえ助ける目算などなかったのに、その上もう時間がない。 スミスが本気なら彼をここで殺す気なのだから。 もとから助かる方法を、小さな可能性ですら全部潰していたのだろう。最初から最後まで、手のひらの上。殺されることは、絶対に決定されていたのだ。 青年はカジュアルな服装をしていて右腕に赤いバンダナを巻いたのが特徴らしい特徴の、とりたて個性がなさそうな、今となっては煤だらけの格好と容姿の二十代前半だ。 表情はこの距離からでもわかるくらい引きつって歪んでいる。恐怖とも憤怒ともつかない、酷い顔だ。それは脈絡のない命の危機という理不尽に対する怖れか、怒りか。 「くっ………!」 見かねた若村が飛び出していく。警官という仕事に就いている彼には、このまま殺されていく青年を見捨てることなど出来なかったのだ。 青年を追いたてるように爆ぜる地雷。 もし、青年が地雷で殺されるのなら、若村もこのままでは巻き込まれてしまう。止めようと他の人間も立ち上がり、正志が声を上げる。 それよりも早く、叫んだ者がいた。 「こっちに来るな!」 青年だ。青年が助けようと駆け寄ろうとする、若村を制止したのだ。 思わぬ呼び声に通路につながる入り口で立ち止まってしまう。 同じように立ち止まる青年。 逃げるのを止めてしまっては、地雷に補まってしまう。諦めてしまったのだろうか? だが数十メートル先の彼の眼は、諦めたそれではない、決意に満ちた不屈の光を宿していた。 正志は青年と目があったような気がした。青年が口を開こうとした。 その時を見計らっていたかのように、ジャコォォッ――――と円筒型のものが床、壁、天井から突き出した。今までの数とは比べ物にならない十数もの爆弾。前も、後ろも、右も左も上も下も、スプリンクラーのように顔を出す。 だが撒き散らすのは水ではなく爆音と衝撃。 『げぇーいむ・おぅばー。ばいばい、赤峰くん』 青年が開いた口で何かを叫ぶ間もなく、辺り一面、閃光と爆音で覆い尽くされた。 鼓膜が破れそうで骨までビリビリと伝わり、建物が揺れた気がした程の衝撃音。 それがこの建物で初めて耳にした人が殺される音だった。 その音は《ゲーム》の開始を意味する号砲だった。 『ゲーム開始より05時間38分経過/残り時間67時間22分』 第九話 道化号砲―――――――――――――終了 第十話 第一犠牲 目次に戻る HPに戻る 素材屋・ |